琉球大学医学部附属病院 歯科口腔外科 は沖縄県内唯一の日本口腔外科学会認定研修施設です。

エチオピア2014年度オペレーション参加研修医による活動報告

「エチオピア滞在日記」
 
琉球大学医学部附属病院 歯科口腔外科
2014年度臨床研修歯科医師
長島 勇毅
 
NO NAME:エチオピア Dr.西原?:DSCF7099.JPG アディスアベバからブタジラまでの移動中。『テレビで見た景色だ‥。』と、海外旅行の経験がたった1回の私は、とんでもなく単純でつまらない感想を頭に浮かべ、ただただそのサバンナの景色に見とれていました。
つまり、エチオピア到着2日間は、完全に観光気分でした。
 
 琉球大学歯科口腔外科西原一秀准教授からエチオピア医療援助活動の話を伺ったのは、なんと出発の1ヶ月ほど前のことでした。初期研修医の約10ヶ月を経過し、新しい知識を知れば知るほど自分の無知さを思い知り、医局の環境に慣れてきたので何か一歩を踏み出すべきであると考えていた矢先のお誘いでした。出生から大学卒業まで東京で過ごし、突然研修医で縁もゆかりもない沖縄に来た私は、海外の移動や環境の変化等の恐怖心が薄いために異国の口唇口蓋裂オペレーションの好奇心が勝り、ほぼ二つ返事で参加になりました。
IMG_5829.JPG 2月16日朝、早速、那覇空港で西原、又吉亮先生をお待たせし、『海外では自己責任だからね』と忠告を受け、一抹の不安を抱え(られ)ての出発となりました。沖縄から名古屋、バンコクを経由し、18時間をかけて2月17日朝アディスアベバ(エチオピア)に到着しました。今回のミッションの参加者は、前述の琉大のお二人、鹿児島大学岐部敏郎先生、愛知学院大学大野磨弥先生、山内楓子先生、ベトナムからハン先生、ウット先生、麻酔科医高橋直樹先生、通訳の優子さん、私の10名という大所帯でした。 
 
IMG_5820.JPG到着したアディスアベバのボレ国際空港では海外の洗礼か?手術道具と医療器具の一部の通税が上手くいかず、空港に一時預かりとなってしまいました。私はボストンバックを一度も地面に置けず、移動の疲れより手首の疲れが勝っていました。
ホテルに到着後、昼からはアディスアベバ大学歯学部で歯科医師、学生、職員に対してLectureを行いました。西原先生の座長で、私は拙い英語で「日本での研修医制度」について一番初めに発表しましたが、この1年間で一番緊張した時間でした。大野先生は「口唇口蓋裂患者の哺乳障害対策」、岐部先生は「創傷治癒の基礎的研究」、又吉先生は「琉球大学での口腔腫瘍の治療について」、ハン先生は「ベトナムの口唇口蓋裂治療」についてそれぞれ発表しました。参加された現地の先生、大学生の皆さんは時折メモを取ったりして、とても熱心に聞かれていました。
IMG_6074.JPG 翌日、2月18日は朝から空港に預けた手術道具の回収後、ブタジラの病院に向かい術前診察を行う予定でしたが、やはりエチオピアの洗礼?は健在で、回収は昼過ぎまでかかり(私たちはホテルで待機でしたが‥)、病院の移動は夜まで及ぶことになりました。待ち時間の間に見たエチオピアのテレビは、サッカーとクリケットばかりでした。



 2月19日からは、本格的な診察と手術が始まりました。術前診察をミッション参加者全員で、全身状態の診察、身長、体重、歯式などを測定し、診察に訪れた24名の患児の内15名を手術可能と判断しましたが、残念ながら1名は手術当日風邪で中止となりました。手術は19日に2件、20日に3件、21日に4件、22日に4件の口唇形成術を行いました(口唇修正術1件を含む)。ブタジラの病院では、朝8時から21時頃までひたすら手術でした。私は、口唇形成術の手術アシストや術前の患者管理などを経験させていただきました。術前絶食の指示を行ったにも拘らず、術後麻酔覚醒時に大量に嘔吐した患者もおり、日本と異なる管理の困難さを実感しました。また停電も度々起こりましたが、みんなのペンライトで術野を照らし、手術は続行されました。エチオピアの食事、住居は、日本と比べると決して満足できるものではなく、手術室も恵まれているとはいえない環境でした。しかし、今回は、劣悪な環境で手術を行っている諸先生方の手術をより近くで見学させて頂くことができ、また、患者さんとより近くで診察する体験ができました。さらに、岐部先生からは口唇形成術の術式等について丁寧に教えて頂いたことも大きな財産となりました。術後の患者さんのご両親の安心した顔や笑顔は日本と全く変わりはありませんでした。 23日から25日、20時間をかけて帰国しました。やはり日本の設備は恵まれていると思います。だからといって技術や設備に頼り、自分自身が怠慢になるのではなく、よりよい診療を患者さんに届けられるように精進したいと思います。今回のミッションの参加は、さらなる向上心を持つ良い機会となりました。
 今回の貴重な機会を与えてくださった新崎教授、西原准教授を初め、医局の先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

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