琉球大学医学部附属病院 歯科口腔外科 は沖縄県内唯一の日本口腔外科学会認定研修施設です。

沖縄県の口腔癌・咽頭癌におけるHPV感染、ポリADPリボース活性

「沖縄県の口腔癌・咽頭癌におけるHPV感染、ポリADPリボース活性と予後との関連について」
 
●研究の目的と意義:
本研究では琉球大学で診療を受け摘出された口腔癌・咽頭癌の病理組織標本を用いてHuman papillomavirus (HPV)の感染と口腔癌の予後との関連について研究を行います。口腔癌・咽頭癌のHPV感染と予後に関する報告は多数ありますが、殆どの報告はHPVが感染している口腔癌・咽頭癌は感染していないものより、5年生存率、全生存率が良く、例え再発したとしても再発までの期間が長い等、全体的に予後の改善に関与する事が報告されています。HPVの感染が何故予後の改善に関わるかについても様々な検討が行われましたが、そのメカニズムはまだ解明されていません。
ところで私達は、マウスの胚線維芽細胞にHPV16のE6あるいはE7遺伝子を発現させるとE6遺伝子を発現させた時のみ、DNA損傷等のストレスで誘導される酵素の一種であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の活性が著しく亢進(ポリADPリボシル化)していることを明らかにしました。このE6発現によるポリADPリボシル化の亢進は、アスコルビン酸やa-トコフェロール等の抗酸化剤処理で失われる事から、E6発現が細胞の酸化ストレスを増加させる事も見出しています。一般的に、細胞に対する酸化ストレスはDNA損傷を誘発し、PARP1のDNA切断端への結合に引き続いて、ポリADPリボシル化反応が亢進することがよく知られています。許容レベルのDNA 損傷の場合はPARP1が関与したDNA修復反応が起こりますが、過剰なDNA損傷は過剰なポリADPリボシル化を招来し、その結果アポトーシスを誘導します。これらの事実から私達は、HPVが感染した癌細胞はE6発現によりすでに酸化ストレスに曝露されており、化学療法や放射線療法はより強力な酸化ストレスを癌細胞に与えることで、細胞死を誘発すると考えました。今迄述べてきたようにHPVが感染している口腔癌・咽頭癌の予後が良い事が疫学的に明らかにされていますが、分子生物学的なメカニズムについては解明されていません。
  本研究では、沖縄県の口腔癌・咽頭癌症例のHPV感染と予後を調べ、さらに病理組織標本を用いてHPV16 E6の発現、ポリADPリボシル化,酸化ストレス等を検討します。これらの検討によりHPVが感染した口腔癌・咽頭癌の予後良好のメカニズムを明らかにしたいと考えています。私達の仮説が証明されれば、口腔癌・咽頭癌の治療戦略に重要な情報となるだけではなく、新たな治療法の開発にもつながる可能性があり、臨床的に有用な発見となる事が期待されます。
 
●研究の対象:
琉球大学医学部附属病院において診療を受けた口腔癌・咽頭癌の患者さんから、(1)検査や手術で切除した病変部から作製された病理組織標本のうち、診療後の残余試料と、(2)病理診断や治療内容などの病気に関する臨床情報、の2 点を提供して頂き、本研究を行います。なお、病理学的検査に関する説明で、包括同意に同意してくださった方のみを対象といたします。ただし、この研究の対象になる方々であったとしても、下に書いてあります「本研究への利用お断りの連絡先」にお知らせいただいた方の残余試料や臨床情報は一切使いません。
 
●研究の方法:
本研究で用いる病理組織標本は切除された口腔癌・咽頭癌の診療後の残りの部分です。従って患者さんがこれまで受けた診断や治療には全く影響を与えません。この病理組織標本を用いてHPV16 E6の発現、ポリADPリボシル化,酸化ストレス等を検討します。この様に琉球大学医学部附属病院に保存された病理組織標本を用いる研究ですので、患者さんから新たに組織を採取したり、採血する等、患者さんに痛みを伴う操作は一切ありません。
 
●個人情報保護に関する配慮:
診療録には個人情報を含みますが、患者さん個人が特定されないやり方で情報を収集します。対象患者の方々の識別は、研究代表者の金城貴夫が責任を持って匿名化した上で管理しますので、個人情報が院外に出ることはありません。また、このホームページにおいて、研究について公開し、問い合わせに応じて、患者さん等からのご希望があれば、その方の病理組織標本と診療録は研究に利用しないようにします。
 
●照会先及び本研究への利用お断りの連絡先:
〒903−0215 沖縄県中頭郡西原町字上原207番地
琉球大学医学部保健学科生体検査学講座形態病理学分野 金城貴夫

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